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NTT系列レンタルサーバー(WebARENA、スマイルサーバ)の運用でつまづくところ

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ウェブサイトの公開に欠かせないウェブサーバー。
中小企業のコーポレートサイトなど、そこまでアクセス数が多くない場合は、低価格帯の「共用サーバー」(1台のサーバーを複数ユーザーで共有して使用する)を利用するケースが多いです。
この共用サーバーを提供しているレンタルサーバー会社はたくさんありますが、各社少しずつ違う特徴があります。

弊社のお客様の中では、多くの企業がNTTPCコミュニケーションズの「WebARENA」というレンタルサーバーを利用しています。
ウェブ黎明期からサービスを提供しており、またNTTグループという安心感もあり、皆さん使われているのだと思います。

「WebARENA」の共用サーバープラン「SuiteX」のページ(2023年1月時点)

このWebARENAは、もちろん一般的なウェブサイトを運用するには困らないのですが、後発のレンタルサーバー会社と少し仕様が違うところもあり、運用でつまづくところもあるので、そのあたりを書いてみようと思います。
(この記事は2023年1月時点の情報を元に執筆しています)

無料のSSL証明書がない

最近のウェブサイトはSSLという暗号化された通信が一般的になっています。
URLが「http://」ではなく「https://」と「s」がついているのがSSL通信です。ブラウザのURL欄では鍵マークがつくようになります。
最近ですと「http://」のままだとセキュリティ的にしっかりしていないイメージもあり、企業にとってはマイナスイメージになるので、「https://」にすることが必須といってもよくなってきています。

SSL通信にするにはサーバーに「SSL証明書」を設定しておく必要があります。
SSL証明書には様々な種類がありますが、最近のレンタルサーバーだと無料SSL(Let’s Encrypt)を使えるところが多く、実在認証などが必要なければ無料でSSL化できるのですが、WebARENAはLet’s Encryptが使用できず、SSL証明書を購入することになります。
(WebARENAでもLet’s Encryptが使用できる「SuiteS」というプラン(メールなしプラン)を近年提供していましたが、2023年3月で新規受付を終了します)

他社レンタルサーバーだと無料SSL化も可能。画面は「さくらのレンタルサーバ」(2023年1月時点)

WebARENAでSSL証明書を購入すると、価格は一番安いグローバルサインのドメイン認証タイプで29,480円/年(別途SSL設定手数料 8,800円)と決して安くはありません(2023年1月時点)。
金額的にはここが他のレンタルサーバー会社と一番差が出てくるところで、お客様からお問い合わせもあるところです。

同じNTTグループのNTTスマートコネクトが提供する「スマイルサーバ」というレンタルサーバー会社がありますが、こちらは「SSLセットプラン」というプランがあり、SSL証明書の購入は必要ないのですが月額料金が通常プランに比べ1,000円ほど高くなっています。
無料ではないですが、WebARENAよりは安価にSSLを導入できます。

「スマイルサーバ」のページ(2023年1月時点)

PHPやMySQLのバージョンが古め

WordPressなどのCMSを使うと必要になるのがPHPとデータベースのMySQL。
ひとくちにレンタルサーバーでPHPやMySQLが使えるといってもバージョンがあり、Wordpressの推奨を満たしているかは気になるところです。
2023年1月現在だと、WordPressの推奨するバージョンは、

  • PHP 7.4以上
  • MySQL 5.7以上

となっています。

しかし、WebARENAとスマイルサーバはPHPは7.4と推奨バージョンを満たしていますが、MySQLが5.6と推奨を満たしていません。
ちなみに他のレンタルサーバー会社だと、ほとんど要件をクリアしています。
(「さくらのレンタルサーバ」ではPHPは8.0、「ヘテムル」は8.1まで選択可能、MySQLは両方とも5.7)

WordPressには管理画面で「サイトヘルス」という項目があり、推奨に満たないバージョンだとメッセージを出すようになっています。

WebARENAで運用しているWordpressの「サイトヘルス」で出るメッセージ

使用可能なDB(データベース)数が3

WordPressなどのCMSではデータベース(MySQL)を使用します。
このデータベースの利用可能な数が、他のレンタルサーバーだと数十個とか無制限とかかなり余裕があるのですが、WebARENAやとスマイルサーバは3つまでしか利用できません。
(※WebARENAは有料オプションでDB数を無制限にできるのですが、月額2,000円かかります。)

3つあればひとつのウェブサイトだけの運用であれば十分なのですが(1つのWordpresで使うDBは1つなので)、運用の仕方によっては足りなくなる場合もあります。
例えば、1つのサーバーで複数のウェブサイトを運用することもあります。(コーポレートサイトの他にサービスサイトを作ったり、あるいは部署ごとにブログを立ち上げることもあります)
また、本番環境の他にテスト環境を用意するケースもあります。
そうなると、3つより多くのDBを使うこともあり、そこで不便を感じることになってしまいます。

WebARENA(SuiteX)のデータベース仕様。標準だと3つまで。有料オプション「高機能データベース」のバージョンも古くて気になるところ。(2023年1月時点)

tmpディレクトリ

時折お客様から「Wordpressで画像がアップロードできなくなった」という連絡をいただくことがあります。
症状をお聞きすると以下のように「一時フォルダが見つかりません」というエラーメッセージが出ています。

WordPress管理画面のエラーメッセージ。

このお客様はWebARENAをご利用だったのですが、調べてみると以下の記事に行き当たりました。
一時領域 /tmp にファイルがたまっているので削除したい。 – WebARENA SuiteX お客さまサポート

「SuiteXの /tmp ディレクトリには20MB未満の利用制限が設けられています。
そのため、お客さまのご都合のよいタイミングで、/tmpディレクトリ内のファイルを削除してください。」

と書かれています。
説明にしたがってコントロールパネルからphp.iniを編集して一時ファイル置き場の場所を一時的に変更すると、画像がアップロードできるようになりました。

他のレンタルサーバーでは起きない現象で、WebARENAとスマイルサーバをご利用のお客様からだけ複数お問い合わせがあるので、このサーバー特有の現象なのだと思います。
少し不便なのと、なかなか原因に気づきにくい現象です。

SSH、cronが使えない

小規模なウェブサイトだとあまり使うことはありませんが、一定規模のウェブサイトを運用していると「SSH」という機能を使いたくなることがあります。
SSHを使えると、GUIのソフトではなく、コマンドラインでサーバーに接続してデータを操作できます。
小さめなデータであればGUIのソフト(例えばFTPソフトやDBを操作する「phpMyAdminなど)で操作可能ですが、データが大きくなってくるとエラーが起きることがあります。
そのような場合、SSHでサーバー上で直接操作をすることで確実に安全にデータ操作が可能になります。

最近では多くのレンタルサーバー会社の共用サーバープランでもSSHの利用が可能になっていますが、WebARENA(SuiteX)とスマイルサーバでは利用できません。
制作現場の人間としてはSSHが使えると何かと楽にはなります。

WebARENAのお客様サポートページ。スマイルサーバでも同じ文面が掲載されている。(2023年1月時点)

また「cron」という定期的にプログラムを実行させる機能も、WebARENA(SuiteX)とスマイルサーバでは利用できません。
CMSの「MovableType」は予約投稿の実行にcronが必要であったり、また、cronがあると定期的にデータを取得するなどのプラグラムを実行できます。
少し複雑な仕様のウェブサイトを運用しようとすると、cronが使えないことでつまづくこともあります。

* * *

以上になります。
WebARENAとスマイルサーバは別会社の運営する別サービスですが、コントロールパネルの体裁も同じで、仕様も似通うところが多いので、同じNTT系列のレンタルサーバーとして紹介させていただきました。

シンプルなウェブサイトであれば問題なく運用できるのですが、Wordpressを運用したり中規模のウェブサイトだったりすると少しつまづくところがあります。
もし制作側の方でこれらのサーバーの運用でつまづいた方がいれば、この記事を参考にしてくださいませ。

ただデメリットばかり書いてしまいましたが、やはりNTTグループならではの高い信頼性と安定性(快適なネットワークに堅牢なデータセンター)という魅力もあります。
また、最近のWebARENA(SuiteX)では、AIベース予測型のメールセキュリティを搭載するなど、他社にない機能も用意されています。
凝った運用をしたり最新を求めなければ、問題なく運用できる共用サーバーですので、用途にあわせて利用するのがよいと思います。

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