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フリーランスで働くということ(2)自宅で働く

更新日:
投稿日:
2011年03月17日

フリーランスの場合、職種にもよりますが、自宅で働くことになる人がほとんどだと思います。
この「自宅で働く」というのは、会社での勤務と比べていろいろな違いがあります。
折しも今回の震災で多くの方が通勤手段を失い、自宅勤務をしていると聞きます。
僕はかれこれ7年間ほど自宅で働いていますが、その経験をもとに僕なりに「自宅で働く」ことのメリット・デメリットを書いてみたいと思います。

通勤

まず、最初に思いつく自宅勤務の大きなメリットは、通勤がないということです。
会社に通う場合、人にもよりますが一日でだいたい2時間ほどを通勤時間に使います。
時間がかかるだけではなく、日本の通勤電車は強いストレスを感じますので、それから解放されるのはかなり有意義なことではないかと思います。
また毎日の通勤がなければ会社との距離は気にしなくてもいい訳ですから、遠くに住むことも可能になります。
僕はフリーランスになってから1年ちょっとたってから、八王子に引っ越しました。
田舎暮らしにも少し憧れていたのでもっと奥も考えましたが、やはり月に何回かは打合せで都心に出なければいけないので限界はあります。
八王子くらいであれば、多少遠くても月数回の打合せであれば全く不便はありません。
家賃もだいぶ下がりますので広めの部屋に住め、自宅勤務もより快適になります。
これもメリットのひとつでしょう。

しかし通勤がないことによるデメリットもあります。
多くの人は毎日単純に会社と自宅を往復しているだけでなく、その合間にいろんな場所に立ち寄り見聞を広めますが、その機会が減ります。
また電車の中で本を読んだりして得る知識というのは意外に大きいのですが、それらの時間もなくなります。
なので、これらの機会や知識を定期的に得る工夫が必要になってきます。

家族との兼ね合い

自宅で働く場合、周りにいるのは同僚ではなく、家族になります。
これは子どもがいる場合といない場合で、状況がずいぶん変わってきます。
子どもがいない場合、仕事を妨げるものはあまりないと思います。
(ついついさぼりがちになってしまったりしますが・・・)
しかし子どもがいる場合、家というものは子どもを中心に動いているので、子どものペースに合わせなければいけなくなります。
例えば我が家の場合(妻+1歳と6歳の子どもあり)、

07〜10時  起床。朝ご飯。子どもの送り出し
09〜12時  仕事
12〜13時  昼ご飯
13〜19時  仕事(途中で子ども帰ってくる)
19〜21時  夕ご飯。風呂。子どもの寝かしつけ
21〜24時  仕事、自分の時間

というサイクルになってます。
子どもは決まった時間で生活しないといけませんので、ほぼずれることはありません。
もちろん外出するときや忙しいときはこの限りではないですが、だいたいは僕もこれに合わせます。
複雑なプログラムを考えている最中に夕ご飯になり、子どもと全然違うテンションの話をするというときもあり、そんなときは結構頭が疲れます。
外で働いているときは通勤している時間にクールダウンして、仕事から家庭へゆるやかに移行できますが、自宅のように仕事とプライベートが隣り合っていると、なかなか切り替えが難しいのです。
ワークとライフがくっつき過ぎているのです。

また、うちは子どもがまだ小さいので、なにかと子育てに参戦することになります。
昔と違って今は核家族が多いですから、奥さんが一人で子育てをするケースが多くなっています。
これはそばで見てるとかなり大変そうで、同じ家にいて見て見ぬ振りをするのもそれはそれでつらく、結果として手伝うことになります。
普通の家庭より子どもといる時間が長くなるのはうれしいことですが、子どもに時間がとられてしまうことも事実です。

あと妻にしても、自分と子どもたちだけであれば昼ご飯も簡単に済ますのに、僕がいるからある程度つくらなきゃ、というのもあるようです。
子どもも家にパパがいるからといって遊べるわけでもなし、あまりうるさくすると仕事にさしつかえがあるから、友だちをあまり家に呼べない、というのもあるようです。
夏休みなどはお互い家にずっといるのに遊べなくて、親子ともどもストレスを感じることもありますし、妻もなるべく仕事の邪魔にならないようにするのは大変なようです。

と、いろいろ問題もあるのですが、ただ、今回の震災のようなときには、やはり家族のそばにいれるのはいいな、と思いました。

仕事のツール、設備

7年前と比べ、仕事に使うツールはクラウドなどのサービスが充実しましたし、PCなどの設備もだいぶ安くなりましたので、その面では自宅勤務をするハードルはだいぶ下がったのではないかと思います。
メールはGmail、ファイル管理はDropboxなどのクラウドサービスを使えば、どこでも最新のデータをいじることができます。
また、以前はPCやソフトを全部揃えると50万円くらいかかったものでしたが、今はその半分くらいの費用で揃えることができます。
なので、今や設備面で心配することはほぼないのではないかと思います。

また、今はSkypeなどのビデオチャットもありますので、自宅にいながら会議をすることも可能です。
しかしビデオチャットは自分の部屋が映し出されれるので、事前にあわてて部屋を片付けたり、服装もそれなりのものに着替えたりして、意外に気をつかいます。

向き不向き

設備的にはハードルの下がった自宅勤務ですが、個人の性格、あるいは業種で向き不向きがあると思います。
まず性格的なところですが、基本的に一人で作業をすることになるので、それが苦手な人は向かないと思います。
また、誰も見てないのでどうしてもさぼりがちになったりしますが、僕の場合は家族がいるおかげで少しは人の視線を意識するので、これについては意外に大丈夫そうです。
あと、ずっと家にいるので運動不足になったりしますが、うまく気分転換したり散歩をするように努めています(なかなかできてないのですが・・・)。

また、会社員が自宅勤務をする場合、管理者の目の届かないところで働くわけですから、時給や月給といった給与体系だと難しいかもしれません。
時間ベースでない何かしらの成果報酬方式でないと、管理者側もギャランティの算出が難しいと思われます。
フリーランスの場合は元々成果主義ですが、会社員で自宅勤務といった場合、このあたりが難しいのかな、と思います。

以上、思いつくままに書いてみましたが、方向性としてはインフラも整いつつあるし、部分的にでも自宅で働けるようにシフトしていくといいのでは、と考えています。
都心の混雑の緩和、子育てへの参加、節電など、社会的なメリットは大きいはずです。
この災害を契機に、新しいライフスタイルを模索していくのは決して無駄なことではないと思います。

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